IMAX 1.43:1から考える
マーケティング画像設計
パーフェクトマニュアル
映像史からフィルム物理、視覚心理、デジタルUI、そしてマーケティング設計まで。 「比率は思想である」という原則に基づいた完全版設計書。
CHAPTER 00
はじめに ― なぜ私はこれを考え始めたのか
ある日、「IMAX 1.43:1で上映」というニュースを目にしました。 そこで素朴な疑問が生まれました。
なぜ1.43:1なのか?映画はずっと横長ではなかったのか? フィルムは縦走り?横走り?昔のアニメは4:3だから近いのでは?
この問いを掘り下げていくと、映像比率は単なるサイズではなく、思想そのものだという結論に至りました。
これは、マーケティングの画面設計そのものではないか?
本資料は、映像史 → フィルム物理 → 視覚心理 → デジタルUI → マーケティング設計まで一気通貫で整理した完全版設計書です。
CHAPTER 01
比率はなぜ生まれたのか ― フィルムの物理構造
映画初期の標準は35mmフィルム縦走りでした。 フィルムは幅35mm、両端にパーフォレーション(穴)があり、上から下へ送られます。
4:3(1.33:1)の理由
映像部分は、フィルム幅の中でパーフォレーションを避けて確保される。 穴があるため横方向が制限され、縦方向が比較的自由だった。だから4:3が合理的だった。
35mm 縦走り
IMAX 70mm 横走り
なぜ横走りにしなかったのか?
理論上は可能でした。しかし、送り機構が複雑化、フィルム破損リスク増、撮影機材再設計コスト、世界標準化の問題があった。結果、縦走りが合理的だった。
IMAXは何を変えたのか?
IMAXは発想を逆転。70mmフィルムを横走りにした。 1フレームが巨大になり、これが1.43:1という比率を生んだ。
Key Insight
画面比率は「デザイン」ではなく「機械構造」で決まっていた。 IMAXは「芸術的判断」で縦にしたのではなく、「面積を最大化したら縦寄りになった」。
CHAPTER 02
なぜ現代は横長になったのか
シネマスコープ革命
1950年代、テレビに対抗するため映画は横長へ。2.35:1、2.39:1といった比率が登場。 横に広げることで「非日常」を作った。
16:9の妥協
16:9は、4:3より横長でシネスコより狭い。両方に対応可能な「政治的妥協比率」として生まれた。
Historical Context
16:9は「最適な比率」ではなく「両方に対応できる比率」として選ばれた。 つまり、どちらにも最適化されていない。
CHAPTER 03
スマホ時代に縦が復活した理由
人間は縦長の身体を持つ。SNSは縦スクロール。視界没入は縦が強い。
1.43:1は、横映画でもない、縦SNSでもない、視界占有型の比率。
横長
視界占有
縦長
縦比率は「見せる」のではなく「視界を支配する」。 これがスマホ時代に縦が復活した本質的な理由。
CHAPTER 04
マーケティングへの応用
なぜ16:9一択は危険か?
記事内画像が16:9だけだと、横に流れる、記憶に残らない、スクロール停止しない。
推奨構成(記事内)
01
1.43:1
導入画像
没入させる
02
4:3
説明図
理解させる
03
1:1
データ
SNS転用
04
4:5
CTA直前
停止効果
Principle
比率を混在させることで、読者の注意をコントロールできる。 「すべて同じ」は「すべて無視される」と同義。
CHAPTER 05
LP設計への応用
LPのファーストビューは、1.43:1相当のヒーローで視線中央集中を狙う。 セクション分割では、横長説明と縦没入セクションを交互に配置。
視線集中
理解促進
情報処理
停止→行動
LP Design Rule
スクロールは「流れ」ではなく「段階」として設計する。 各段階で最適な比率を選ぶことで、読者を誘導できる。
CHAPTER 06
SNS別最適比率
| 媒体 | 推奨比率 | 理由 |
|---|---|---|
| Instagram フィード | 4:5 | フィード占有率最大化 |
| Instagram ストーリー/リール | 9:16 | 全画面没入 |
| X(Twitter) | 16:9 | タイムライン最適化 |
| YouTube サムネイル | 16:9 | プラットフォーム標準 |
| TikTok | 9:16 | 全画面没入 |
| 記事内 | 混在 | 心理フェーズに合わせる |
IG
Story
X/YT
汎用
CHAPTER 07
ヒートマップ想定
縦構図は視線中央滞留を促し、滞在時間を増加させる。 特にCTA直前で縦比率を使うと、停止効果が高まる。
Heatmap Insight
縦型画像は視線が中央に集中し、逃げ場がなくなる。 これが「没入」の正体であり、CTA直前での停止効果を生む。
CHAPTER 08
実践テンプレート
記事構造テンプレート
- 問い(導入画像: 1.43:1)
- 歴史・背景(説明図: 4:3)
- 物理・構造(図解: 16:9)
- 現代への接続(データ: 1:1)
- 応用(事例: 4:3)
- 設計図(まとめ: 4:5)
- CTA(縦型: 4:5)
配布資料(ダウンロード可能)
ratio-design.css
CSSモジュール(比率クラス、記事構造、LP構造、SNS最適化)
article-template.html
記事構造テンプレート(8セクション構成)
lp-template.html
LP構造テンプレート(12セクション構成)
ab-test-sheet.md
ABテスト設計シート(Markdown形式)
※ 各ファイルをクリックするとダウンロードが開始されます。
※ ブラウザで閲覧する場合は、右クリック→「新しいタブで開く」をお使いください。
CHAPTER 09
次にやるべきこと
- 画像比率ABテスト(16:9 vs 4:5 vs 1.43:1)
- スクロール深度計測
- CTA前画像差替テスト
- SNS転用率分析
検証サイクル
1. 画像変更 → 2. 2週間計測 → 3. 有意差確認 → 4. 勝ちパターン固定 → 5. 横展開
IMAX 1.43:1は比率ではない。思想である。
縦と横の間にある「没入設計」。マーケティングも同じ。画面は思想である。